借金で悩んでいる人の中には、ギャンブルにのめり込んでしまい、気がつけば借金がふくらんでいたという人もいるでしょう。借金を重ねて支払困難となってしまった場合には、自己破産をして借金を全額免除にしてもらうこともできます。けれど、ギャンブルが理由の借金の場合には、免除にならないのが原則となっています。
自己破産で借金を免除してもらうには「免責」になる必要がある
借金を重ねて返済が困難になってしまった場合、裁判所に自己破産を申し立てて、借金を免除してもらうことができます。裁判所は、借金の残額とその人の支払い能力を照らし合わせ、支払不能と判断すれば、自己破産の決定を出します。
なお、正確には、自己破産の決定を得ただけでは、借金は免除になりません。借金を帳消しにするには、自己破産の決定後に、免責という手続を経る必要があります。裁判所により免責が許可されてはじめて、借金が全額免除されることになります。
ギャンブルによる借金は破産しても免除にならない
裁判所に免責を許可してもらうには、法律で決められている「免責不許可事由」に該当しないという条件があります。そして、免責不許可事由の1つが、浪費やギャンブルによる借金ということになっています。
自己破産というのは、借金を全て帳消しにするという大きな効力を与えるものですから、どんな借金でもOKというわけではありません。ギャンブルで作った借金は、ギャンブルをした人自身の責任によるところが大きいですから、「ちゃんと自分で働くなりして返しなさい」というのが原則なのです。
実際には裁判官の裁量で免責になることが多い
「既に多額の借金を抱えているけれど、ギャンブルに使ったので自己破産ができない」と悩んでいる人もいるかもしれません。実は、借金の理由がギャンブルなら、自己破産は不可能というわけではありません。
破産した人を免責にするかは、最終的には裁判官の裁量で決まります。実際には、破産しても免責にならないケースというのはまれで、自己破産を申し立てれば大部分が免責になっています。また、明らかに免責が不許可になるような事案では、裁判所の方から申立の取り下げを求められることもあります。
免責を得るためにはギャンブルをメインの理由にしない
自己破産申立時には、申立書のほかに、借入の理由や生活状況などの細かい事情を記載した陳述書を提出します。なお、陳述書の書式は裁判所で用意されていますので、それに従って必要事項を記入していったら良いだけです。
ここで、陳述書に記入する借入の理由としては、ギャンブル以外に、生活費が足りなかった、事業資金に必要だった、など複数の選択肢があり、あてはまるものすべてを書く形式になっています。
ギャンブルで借金をした人というのは、ギャンブルを楽しむためだけにお金を使っているケースは少ないと思います。つまり、ギャンブルによる借金と言っても、元々の理由は生活費が足りなかったり、事業資金が不足したりといったことが多いはずです。
免責許可の可能性を高めるためには、ギャンブルもしたけれど、それが借金をした主な理由ではないということを強調した方が効果的です。決してギャンブルだけを理由にしないように、陳述書の書き方を工夫しなければなりません。
生活再建に向けた姿勢をアピールすることが大事
最終的に免責を得られるかどうかは、これまでの借金を反省し、生活を建て直したいという意志が裁判官に伝わるかどうかにかかっています。陳述書にも反省すべき点や今後改善すべき点を記入する欄がありますから、今後の決意をしっかり書いておく必要があります。
また、免責許可の前には「審尋」という裁判官との面接があります(※裁判所により、省略される場合もあります)。免責審尋の際にも、できるだけ裁判官の印象を良くし、生活再建に向けた決意をアピールすることで、免責許可を得られる可能性が高まります。
自己破産を申し立ててギャンブルによる借金を免除してもらうことは不可能ではありません。ギャンブルによる自己破産を成功させるためには、裁判所に提出する書類の書き方を工夫するなど、細かいテクニックが有効です。自己破産手続を弁護士に依頼すれば、免責許可が得られるよう、最善を尽くしてもらえます。